残業単価(基礎時給)の正しい計算方法|含める手当・除外する手当

1. まず押さえるべき結論3点

  1. 残業代の1時間あたりの単価(基礎時給)は、「月給 ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間」で算出される
  2. 「基本給だけ」をベースに計算するのは違法。役職手当や皆勤手当なども必ず含めなければならない
  3. 計算から除外できる手当は、家族手当や通勤手当など「労働と直接関係のない個人的事情によるもの」に限定されている

2. 残業単価(基礎時給)を求める計算式

残業代の計算元となる「基礎時給」は、毎月一定の金額とは限りません。自社のルールと給与明細を確認して、以下の式に当てはめます。

残業単価(基礎時給)= (月給 - 除外できる手当) ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間

(例: 28万円 ÷ 160時間 = 1,750円)

この基礎時給に「1.25(時間外割増)」等を掛けたものが、支払われるべき残業代の単価です。

3. 【重要】「除外できる手当」と「除外してはいけない手当」

会社が支払うお金のうち、基礎時給の計算から「除外してよい」と法律(労働基準法および施行規則)で限定列挙されているものは以下の7種類のみです。

計算から除外してよい手当(7種類)

  • 家族手当(扶養家族の数に応じて支給されるもの)
  • 通勤手当(通勤距離や運賃に応じて支給されるもの)
  • 別居手当(単身赴任などで支給されるもの)
  • 子女教育手当(子どもの学費等に応じて支給されるもの)
  • 住宅手当(家賃・ローン等の額に応じて支給されるもの)
  • 臨時に支払われた賃金(結婚手当など)
  • 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与・ボーナスなど)

計算から除外しては「いけない」手当(よくある違法計算)

以下のような名目の手当は、除外して計算すると未払い残業代が発生(違法)します。

  • 役職手当・管理職手当(※管理監督者でない限り)
  • 資格手当・技能手当
  • 営業手当・地域手当
  • 皆勤手当・精勤手当
  • 「一律支給の」家族手当や住宅手当(1人一律1万円や、実家暮らしでも一律支給されているものなどは除外不可)

4. 具体例によるケーススタディ

間違った計算方法で残業代が支払われているケースを見てみましょう。

【例:総支給30万円 / 月の所定労働時間160時間のBさん】

  • 基本給:23万円
  • 役職手当:4万円
  • 皆勤手当:1万円
  • 通勤手当(実費):2万円

❌ 違法な会社の計算
「基本給だけ」をベースに計算。
23万円 ÷ 160時間 = 基礎時給 1,437円

✅ 正しい計算
除外できるのは「通勤手当(2万円)」のみ。役職手当と皆勤手当は含めなければなりません。
(30万円 - 2万円) ÷ 160時間 = 基礎時給 1,750円

基礎時給だけで1時間あたり300円以上も差が出ています。

5. 実務チェックリスト

手当を入力するだけで簡単に「除外できる・できない」を自動判定して単価を算出できる残業代計算ツールをご活用ください。

よくある質問 (FAQ)

残業単価(基礎時給)の計算式を教えてください。

「月給(ただし除外できる手当を引いた額)÷ 1ヶ月の平均所定労働時間」で計算します。出てきた金額が1時間あたりの基礎時給となり、これに1.25等の割増率を掛けたものが残業単価になります。

役職手当や資格手当は残業単価の計算から除外できますか?

いいえ、除外できません。労働基準法上、計算から除外できる手当は家族手当、通勤手当など極めて限定的に規定されています。役職手当や営業手当などの職務関連手当は基礎賃金に含める必要があります。

交通費(通勤手当)は除外してもいいですか?

はい。通勤手当(距離や定期代に応じて支払われるもの)は、個人的な事情に基づく手当として労働基準法上、基礎賃金の計算から除外することが認められています。

固定残業代(みなし残業手当)は基礎賃金に含めますか?

有効な固定残業代(残業代の先払いとして機能しているもの)であれば、基礎賃金からは除外して計算します。ただし、有効性が認められない「名ばかり固定残業代」の場合は基礎賃金に組み込まれ、残業単価が跳ね上がるケースがあります。

会社の計算式が『基本給 ÷ 173時間』となっていますが正しいですか?

基本給以外に支払われている手当がある場合、違法な計算式である可能性が高いです。また分母の173時間も自社の年間休日に基づく正しい所定労働時間でなければなりません。

関連リンク


8. 出典・参考リンク

最終更新日:2026年2月22日
監修・運営:残業代計算ツール事務局 / fin-calculator.com 編集部
※本コンテンツは各種法令に基づき執筆されていますが、個別の労働トラブルについては労働基準監督署や弁護士等へご相談ください。