パート・アルバイトの残業ルールと「時給制」の割増計算方法

1. まず押さえるべき結論3点

  1. パートやアルバイトであっても労働基準法は完全に適用され、残業があれば残業代が発生する
  2. 「1日8時間」または「週40時間」を超えて働いた分については、時給が自動的に「1.25倍」になる
  3. シフトの予定時間より延びても、1日8時間以内の残業(法内残業)であれば通常時給(1.0倍)の支払いで適法となる

2. 押さえておきたい「2種類の残業」による時給の違い

パート・アルバイトの場合、「自分のシフト時間」と「法律の上限時間」が異なるケースが多いため、残業の種類を分けて考える必要があります。

ケースA:法内残業(割増なし・1.0倍)

【例:時給1,000円】
契約シフト:10:00〜15:00(実働5時間)
実際の勤務:10:00〜17:00(実働7時間)

シフトより2時間長く働いていますが、1日の労働時間は「7時間」です。労働基準法の制限である「1日8時間」を超えていないため、この2時間の延長分(法内残業)は通常の時給1,000円での支払いで問題ありません。


ケースB:法定時間外労働(割増あり・1.25倍)

【例:時給1,000円】
契約シフト:10:00〜19:00(休憩1H・実働8時間)
実際の勤務:10:00〜21:00(休憩1H・実働10時間)

この日は合計10時間働いています。法律の上限(1日8時間)を「2時間」超えています。このため、8時間を超えた2時間分については、時給が1.25倍(1,250円)になります。
※時給1,000円のまま計算されていたら違法(未払い)です。

3. 見落としがちな「週40時間」の壁

1日8時間以内の勤務でも、出勤日数が多い場合は割増賃金が発生することがあります。労働基準法には「週40時間」というもう一つの上限があるからです。

【例:1日7時間 × 週6日シフト で働いた場合】

毎日の勤務は7時間であるため、1日単位では「8時間の壁」を超えていません。
しかし、1週間の労働時間を合計すると「42時間(7時間×6日)」となります。
結果として、週40時間を超過した最後の「2時間分」については、時給が1.25倍にならなければいけません。

4. ダブルワーク・掛け持ちの「通算ルール」

昼間はカフェ、夜は居酒屋など、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、労働時間はすべての勤務先を通算して計算するという重要な法原則があります。

この場合、その日の総労働時間は「9時間」となり、1日8時間の法定上限を超過します。1時間分の割増賃金(1.25倍)が発生しますが、支払う義務は原則として「後から労働契約を結んだ会社」または「後から労働させた会社(この場合はB店)」が負うことになります。

5. よくある誤解(「うちの時給は残業代込み」の嘘)

採用面接時などで「うちは高時給の1,500円だから、残業代も深夜手当も全部込みになっている」と言われるケースがあります。

法的な判断基準

給与明細において「基本時給部分(いくら相当か)」と「固定残業代部分(いくらで何時間相当か)」が明確に区分して明示されていない場合、法的には「残業代込み」という主張はほぼ無効と判断されます。
その場合、「通常の時給が1,500円である」とみなされ、残業時には1,500円の1.25倍にあたる1,875円の割増賃金が別途請求できる可能性が高いです。

6. 実務チェックリスト

ご自身の働き方が「法内残業」か「法定時間外労働(割増対象)」かを正確に知りたい方は、パート・アルバイト専用残業代シミュレーションで計算してみてください。

よくある質問 (FAQ)

パートやアルバイトでも残業代(割増賃金)は出ますか?

はい、出ます。労働基準法は雇用形態に関わらず適用されるため、1日8時間または週40時間を超えて労働した場合は、時給が自動的に1.25倍になる割増賃金が発生します。

契約のシフト時間を超えて働いた場合、すべて1.25倍になりますか?

いいえ、1日8時間の範囲内に収まる残業(法内残業)であれば、通常の時給分(1.0倍)が支払われれば適法です。1.25倍になるのは「1日8時間」または「週40時間」の法定労働時間を超えた部分のみです。

アルバイトを掛け持ちしている場合、労働時間はどう計算されますか?

労働時間は勤務先が異なっても「通算」されます。A社で5時間、B社で4時間働いた日は合計9時間となり、法定労働時間の8時間を超えた1時間分について割増賃金が発生します。原則として後から契約または勤務した会社に支払義務が生じます。

面接時に「時給に残業代込み」と言われましたが有効ですか?

基本給(通常の時給)と割増賃金(残業代)の部分が明確に区分されていない場合、固定残業代としては無効となる可能性が高いです。その場合、高い時給をベースにしてさらに残業代を請求できることがあります。

深夜シフトの残業はどう計算されますか?

深夜(22時〜翌5時)に法定時間外労働(1日8時間超の残業)を行った場合、「時間外割増(1.25倍)+深夜割増(0.25倍)」となり、通常の時給の1.5倍の賃金が必要になります。

関連リンク


8. 出典・参考リンク

最終更新日:2026年2月22日
監修・運営:残業代計算ツール事務局 / fin-calculator.com 編集部
※本コンテンツは各種法令に基づき執筆されていますが、個別の労働トラブルについては労働基準監督署や弁護士等へご相談ください。